サバの味噌煮のブログ

16歳の主に映画やドラマや本の感想

普通の人々 中学生視点の感想と考察 ネタバレ

素晴らしかったです。コンラッドや母親の弱さ、そこからコンラッドが成長していく様子に恥ずかしながら5回くらい号泣しました

*ここから先は全てネタバレです

 

 

ストーリーを説明すると、母親に溺愛されてた兄が自分の原因で死んで、罪悪感に囚われた弟の自殺未遂をきっかけに家庭がギクシャクしている所から始まります。その弟、息子であるコンラッドは父の勧めでセラピーに通う事になります

母親のベスは「普通」の家庭の「普通」の親でありたいのかセラピーに通っている事を父親のカルビンが他人に話した事に怒りを見せたりコンラッドに対して明らかに距離を置いてるのが分かります

一方父親のカルビンは塞ぎ込んでる息子を理解しようと歩み寄っていくのですが、ベスがコンラッドと自分に対して愛情を持ってるのか疑問に感じ最終的には離婚を切り出してカルビンとコンラッドの2人でまた家族を始めようとする感じの映画です

 

感想

この作品の感想をネットなどで見ると大体母親に対しての批判があるのですが、個人的にはこの映画ってラストシーンのカルビンの「誰が悪い訳でもない、結果としてこうなった」というセリフその通りで、母親と父親と息子の生き方や価値観がただ単に違っていただけで遅かれ早かれこうなっていたのかなと感じています

 

この劇中でコンラッドは自分からハグをしたり母親に寄り添おうとしていますが、母親はそのハグを受け入れられずに距離を置いていたのはやはりまだ未熟でどう自分を変えて人に寄り添えばいいのか分からない可哀想な人だったんだなと思いました。途中でベスの母親、つまりコンラッドの祖母が出てくるのですがその祖母もコンラッドに全く寄り添おうとせず、甘やかしてはダメと突き放しているのですが正にこの母親に育てられたからベスのこの性格が出来たんだろうなぁと…だからこそベスのこの性格は仕方のない事だよなと思えて不思議とムカつきませんでした

 

この母親ベス役のメアリーテイラームーアが母親のこの弱さと脆さを上手く演じていて個人的に私の中ではこの方がアカデミー助演女優賞でした。勿論コンラッド役のティモシーハットンも精神的に弱って情緒不安定になる演技が自然で素晴らしかったです

 

映画の中でカレンが自殺した事をコンラッドが知るシーンも切なくて人間の分からなさと脆さを表していて劇中1、2を争う程好きな場面です。昨日まで元気だと思ってた人が今日自殺したりする事って充分あり得るんですよね。そこのリアルさを映画のストーリーに入れてくる感じが凄いなと感じました

 

 

ラスト辺りのカルビンがベスに別れを切り出すシーンでカルビンが「事故が無ければこの家は平和だっただろう」と語っていましたが本当にこの通り、多分この家庭は事故が無ければ普通に幸せでどこにでもある平凡な毎日を築けていたんですよね。けどそれが兄の死で急に変わり母親はコンラッドに冷たくなってコンラッドは塞ぎ込んでしまう。でもこれはこの家庭だけじゃなくどの家庭でも多分起こりうる事で平凡で「普通」な家庭だからこそ見えていないけど、実際家庭が危機的な状況に陥った時にちゃんと家庭崩壊せずに、また崩壊したとしてもそれを持ち直せる家庭ってどれくらいあるのだろうという事を深く考えさせられた作品でした。あとこのシーンのカルビンの優しさのある切羽詰まった感情の演技とベスが別れを切り出されて静かに部屋に戻り家を出る準備をしようとしていたら急に泣き方を忘れたように思わず涙を零してしまうシーンが物凄く好きです。この作品はカルビン役の方もベス役の方もコンラッド役の方も全員演技が驚く程自然で思わず見ていると息を飲み込みます。恥ずかしながらこの映画でお三方の俳優さんを始めて知ったのですが本当に素晴らしい俳優さん達です

 

この後ベスは家を出て行きます。これは私の勝手な憶測ですけど恐らくベスはこれからカルビンがコンラッドに会いに来てもいいよとか言っても会いに来ないんでしょうね…そこが切なくて胸を締め付けられるけど、それでもカルビンとコンラッドが幸せに暮らしていけばそれはハッピーエンドだからまぁいいのかなと思います

あと最後に!細かくどこかいいのかは上手く伝えられないんですけどカメラワークがやたら最高でした